小千谷の織物

小千谷縮の原料は青苧といって、宿根性の草木・苧麻の靱皮からとったもの。苧麻はもともと野生のもので越後に多く、畑地の栽培も行われていた。室町時代には全国でも重要な産地になった。

小千谷縮を生産する最初の作業＜苧績み＞は糸をつくる仕事で、青苧を微温湯につけて柔らかくしてから水気を切る。 1本の端を口に加えて、他の端を手に持ち、爪や指先で繊維を細かくさいていく。さいた糸は、嘸液でしめしながら指先でつないでいく。つなぐ方法は、緯糸は軽くひねりつなぐだけだが、縦糸は強くするためその部分で糸をくぐして結ぶという手間のかかる仕事で、1反分の糸を作るのに3ヶ月程かかる。

糸を撚るには、茶碗の中で回転する紡錘の先端に糸をからげる。
紡錘摺という台の上で、手代木で摺って紡錘を回転させ、両手の間の糸に撚りをかけながら瓢筒に巻き取っていく。
糸はかわくと切れやすいので水通しを使う。1回に撚る糸の長さは60cmくらいで、小千谷縮独特のシボは、この撚り加減によってできる。現在では、シボを出すため撚り糸機で、強撚をかけている。

綛は、糸をあつかいやすく長さを計算しやすくするため、糸を連続したまま一定の長さの輪にし、束ねたもの。アルファベットのHを横にしたようなかたちの綛粋に糸をかけ、6回巻いて左手をくぐらせ「あや」を作るが、これを「ひびり」という。

白縮は織り終わってから晒すが、地染のものは糸のうちにさらす。
まず灰水を作って、この中に糸を一晩漬ける。朝、これを加熱してから糸を取り出し、雪の上にのべて晒す。
糸がかわかないようときどき雪をふりかけ、数日これを繰り返すと糸は純白になる。
この方法を雪晒しというが、糸がばらばらにならないよう綛の輪の状態ですることが多い。晒した糸は、清水ですすいでからかわかす。 麻の原糸は少々茶色味を帯びていて、それを漂白するために行われる。

絣つくりのための定規は、1680年代に登場した。 織模様をつくるには、まず、古代切本や原図案により織巾や柄数などを設計し、原図案を引き伸ばし、絣図案とする。この図案に基づいて、定規をつくる。古代より経は板定規、緯はコバ（木羽）定規が使用されてきた。経定規は板に糸数により十数条の細い溝を彫り、この上に絣図案を写す。緯定規は巾6センチ、長さ40センチくらいのコバやボール紙を数十枚から数百枚、図案に必要なだけ積み重ね締め粋で強く締め、重ね合わせた面を平に削り、その面に図案を写す。使うときは1枚ずつわける。

経糸は板定規の溝に糸を入れて点画し、緯糸ははり台にかけ、緯定規を一枚ずつはずして、耳の印を合わせながら、糸上に墨で印をつけていく。墨付けが終わると絣の部分を防染するめ、古苧で固くくくる。これを絣くびりという。 従来の絣つくりはこのような「くびり絣」の技法がすべてであったが、その後、織模様の多色化、複雑化により「すりこみ絣」の技法が取り入れられ定着してきた。これによって、精緻な絣模様が自在に駆使できるようになった。

藍や草木染などの自然染料と、色や種類が豊富にそろっている化学染料を使う2つの方法がある。特に、自然染料の藍は麻に適しており、深く美しい色が出る。自然染料で染める場合は、色を濃く出すため繰り返し日数を費やして染めなければならない。また「くびり絣」は、くびりきわに染料が浸透しにくので、染料の中で指先でくびりきわをもみながら染める。「すりこみ絣」は、墨付けの終わったあと、すりこみベラに染料をつけて、図案に基づいてたんねんに糸の深部にまで染料が浸透するようすりこむ。このあと「むし箱」に入れて100℃の蒸気でむして酸湯で発色させる。乾燥した染糸は固着したくびり古苧をほどくため、ほぐしやすくなるよう弱火で煮る。縦糸はかせ棒（長さ1.5メートル位の2本の板状の棒を十字に組み回尻という台の上に置き、四隅に竹をさしたもの）に糸をかけ、フクロ糊を付けながらたたみ粋に巻き移したり小粋に巻き取る。

絣が設計通りに織り上がるかどうかを左右する重要な工程が、【機ごしらい】。 染め上がった糸は絣ほぐしなどの工程を経たあと、巻台、コマ台、万力などを用いて、筬通し（経糸を1本ずつ綜こう目に通し、このあと糸を2本ずつ筬一羽の中に通す）のあと、図案を下に置いて、絣を合わせながら機軸に巻き込む。 地糸の場合は、設計に基づいて絣糸といっしょに巻き込む。

小綛にした緯糸を、管巻機でクダに巻く。

縞や絣などさまざまな模様が織り出されるようになったのは、1670年以降である。 はじめに無地糸で織りつけ、次いで小千谷縮などの名称を織りながら、絣合わせを行い、本織りにはいる。主として緯糸の絣を駆使して模様を織り出すという特色を持ち、織機にかけた経糸に、緯糸を杼にいれ、一本通すたびに織巾に絣つくりで印をした耳を合わせながら模様を織り出していくという、根気のいる仕事である。 近年は高機の変わりに力織機も導入されているが、緯糸を一本通すごとに耳を合わせ、絣合わせをしながら織る方法は江戸時代から変わっていない。

長さ180センチ×幅70センチの舟（木製の水槽）に微温湯を入れ、反物を手繰りこみ、湯もみする。縮シボのある布は、このあと天井から吊るした縄にかけ、全長をまんべんなく手でもみながら、シボ出しを行う。さらに、水気をしぼって乾燥させる。シボのない平布は、湯もみ、のり洗いを行ったあと、水気をしぼって乾燥する。また、白縮は、すすいだあと舟の中で布踏みを行い、雪の上にのべて晒す。この布踏みと雪晒しを一週間毎日繰り返すと、布地は雪のように純白になる。晒し終わった布はシボを整えて乾燥させる。この工程は、江戸時代からほとんど変わっていない。

小千谷紬の主原料は、玉糸・真綿・手紡糸などで1746年代から使用され始めた。 主な産地は長野県・群馬県・埼玉県で、成分はフイブロインとセリシン。すぐれた感触と光沢で、高級着尺地として伝統的に使用されている日本の代表的な糸である。

真綿を均一な太さになるように、細く手で引き出し機に巻取る。（手紡糸）

玉糸を数本引揃え、適当な撚をかけ糸の強さ及び均一な太さにする。

玉糸のよごれや油、セリシンを除去する。

綛糸をトンボ枠にかけてフクベを巻機に取付け、トンボ枠からフクベに巻取る。

選び抜かれた絵模様に基づいて定規をつくる。染色は、緯糸に定規の耳を合わせながらすみ付けを行い、「すり込み」技法で模様付けを行う。

絣つくりのための定規は、1680年代に登場した。 織模様をつくるには、まず、古代切本や原図案により織巾や柄数などを設計し、原図案を引き伸ばし、絣図案とする。この図案に基づいて、定規をつくる。古代より経は板定規、緯はコバ（木羽）定規が使用されてきた。経定規は板に糸数により十数条の細い溝を彫り、この上に絣図案を写す。緯定規は巾6センチ、長さ40センチくらいのコバやボール紙を数十枚から数百枚、図案に必要なだけ積み重ね締め粋で強く締め、重ね合わせた面を平に削り、その面に図案を写す。使うときは1枚ずつわける。

経糸は板定規の溝に糸を入れて点画し、緯糸ははり台にかけ、緯定規を一枚ずつはずして、耳の印を合わせながら、糸上に墨で印をつけていく。墨付けが終わると絣の部分を防染するめ、古苧で固くくくる。これを絣くびりという。 従来の絣つくりはこのような「くびり絣」の技法がすべてであったが、その後、織模様の多色化、複雑化により「すりこみ絣」の技法が取り入れられ定着してきた。これによって、精緻な絣模様が自在に駆使できるようになった。

藍や草木染などの自然染料と、色や種類が豊富にそろっている化学染料を使う2つの方法がある。特に、自然染料の藍は麻に適しており、深く美しい色が出る。自然染料で染める場合は、色を濃く出すため繰り返し日数を費やして染めなければならない。また「くびり絣」は、くびりきわに染料が浸透しにくので、染料の中で指先でくびりきわをもみながら染める。「すりこみ絣」は、墨付けの終わったあと、すりこみベラに染料をつけて、図案に基づいてたんねんに糸の深部にまで染料が浸透するようすりこむ。このあと「むし箱」に入れて100℃の蒸気でむして酸湯で発色させる。乾燥した染糸は固着したくびり古苧をほどくため、ほぐしやすくなるよう弱火で煮る。縦糸はかせ棒（長さ1.5メートル位の2本の板状の棒を十字に組み回尻という台の上に置き、四隅に竹をさしたもの）に糸をかけ、フクロ糊を付けながらたたみ粋に巻き移したり小粋に巻き取る。

絣が設計通りに織り上がるかどうかを左右する重要な工程が、【機ごしらい】。 染め上がった糸は絣ほぐしなどの工程を経たあと、巻台、コマ台、万力などを用いて、筬通し（経糸を1本ずつ綜こう目に通し、このあと糸を2本ずつ筬一羽の中に通す）のあと、図案を下に置いて、絣を合わせながら機軸に巻き込む。 地糸の場合は、設計に基づいて絣糸といっしょに巻き込む。

小綛にした緯糸を、管巻機でクダに巻く。

縞や絣などさまざまな模様が織り出されるようになったのは、1670年以降である。 はじめに無地糸で織りつけ、次いで小千谷縮などの名称を織りながら、絣合わせを行い、本織りにはいる。主として緯糸の絣を駆使して模様を織り出すという特色を持ち、織機にかけた経糸に、緯糸を杼にいれ、一本通すたびに織巾に絣つくりで印をした耳を合わせながら模様を織り出していくという、根気のいる仕事である。 近年は高機の変わりに力織機も導入されているが、緯糸を一本通すごとに耳を合わせ、絣合わせをしながら織る方法は江戸時代から変わっていない。

木舟に微温湯を満たし、反物についた余分な糊を落とし、巾を整え、真綿本来の風合いを出す。